2025.11.05
近年、SNSではショート動画が主流となり、InstagramのリールやTikTokを中心に「縦型動画での発信力」が企業アカウントの成長を左右するようになりました。
多くの担当者が「CapCut」や「Premiere Pro」など外部編集ツールを使って動画のクオリティを高めてきましたが、実際には次のような課題も少なくありません。
・編集作業に時間がかかり、投稿頻度が落ちてしまう
・動画のトンマナが安定せず、ブランド統一感が出しづらい
・外部アプリ間のデータ移動や書き出しで工数が増える
そんななか2025年4月、Meta社(Instagram運営元)が発表した新しい編集アプリ 「Edits(エディッツ)」 が注目を集めています。
スマートフォンだけでリール動画の撮影・編集・投稿を一貫して行えるこのアプリは、シンプルでMeta公式ならではの最適化と連携性を備えています。
本記事では、Editsの主要機能や実際に使って感じた課題点、具体的な活用方法などについて詳しく解説します。
Edits(エディッツ)の特徴

「Edits」はMetaが2025年4月に正式リリースした、スマートフォン向けの動画編集アプリです。
Edits最大の強みは、Instagram・Facebookを中心とするMetaプラットフォームとの連携性の高さにあります。
他の外部アプリでは得られない「制作〜配信〜分析」の一気通貫運用が可能です。
Instagramのリールに投稿されることを前提に設計されており、リール編集のための最適化が随所に施されています。
主な特徴は以下のとおりです。
無料・透かしなし
Editsではカット、トリミング、速度調整といった基本機能に加え、自動背景切り抜き、豊富なフィルタやエフェクトなど、高度な編集機能が提供されています。
これらのすべての機能の利用から動画出力まで、現時点では完全に無料です。
また、透かし(ウォーターマーク)も付かないため、プロフェッショナルな動画制作が可能になっています。
Instagram以外のプラットフォーム(TikTok、YouTubeショート、Twitterなど)にも自由に投稿可能です。
制作コストを削減し、ブランドイメージを損なわない高品質な動画を量産したい企業に最適だと言えるでしょう。
AIを活用した高度な編集機能がある
Editsなら、他の動画編集アプリでは有料であるケースが多い、AIを活用した高度な編集機能も無料で利用できます。
・自動背景切り抜き
動画内の人物やオブジェクトの背景を、AIが自動で高精度に切り抜き、別の背景に合成できる機能です。
例えば、商品紹介動画で、背景をブランドカラーやイメージ画像に瞬時に変更し、視覚的なインパクトを強めたりすることができます。
・自動キャプション生成
動画内の音声を認識し、自動でキャプション(字幕)を生成する機能です。
聴覚に障害を持つユーザーへの配慮や、ミュートで視聴するユーザー層への情報伝達を確実にします(アクセシビリティ向上)。
シームレスにリール投稿できる
Editsで編集した動画は、Instagramアプリに手動で切り替える必要がなく、Editsアプリのエクスポート画面からそのままInstagramやFacebookへシェアできます。
従来のように「書き出し→スマホ保存→Instagramのアプリを開く→アップロード」という工程を省略できます。
トレンドの音源を利用できる

Edits内では、Instagram・Facebookでトレンド入りしている音源をMeta公式ライブラリから直接検索・追加できます。
つまり「今、ユーザーが反応している音源」をリアルタイムで反映できるため、トレンドとのズレがない投稿設計が実現します。
外部アプリだと、著作権や使用制限の関係で音源管理が煩雑になりがちですが、EditsではMeta認証済みの音源を安心して利用できます。
インサイトをアプリ内で確認できる
Editsでは、投稿したリールの主要指標(リーチ数・再生回数・完了率・保存数・シェア数など)をアプリ内で直接確認できます。
「どの動画が伸びたか」「どのパターンに対する反応が多かったか」をEditsアプリ上で分析できるため、制作と分析を行き来しながら改善を回せるのが特徴です。
アルゴリズム上の優遇が期待できる

Editsで作成したリールには、動画画面内に「Editsで作成」という表示が追加されます。
Metaはこのアプリをリール制作の公式推奨ツールとして位置づけているため、明言はされていませんが、Editsで作った動画はInstagramのアルゴリズム上で優遇される可能性が高いです。
これは、Metaが新機能や公式ツールの利用を促進するため、「新しい機能を活用した投稿を一時的にアルゴリズム的に優先表示する」傾向があるためです。
つまり、Editsを積極的に活用することで、リール発見タブへの露出やリーチ拡大につながる確率が上がると考えられています。
このようにプラットフォームの意図を読む視点は、企業のSNS運用で成果を出す上で非常に重要です。
新機能をいち早く取り入れ、最適化されたツールで制作することが、結果的にコストをかけずリーチを伸ばす最短ルートになります。
競合アプリよりも編集難易度が低く手軽
Editsは「スマホで、無料で、Metaプラットフォームに最適化された動画を、効率的に量産したい」企業アカウントにとって、現時点での最適解と言えます。
他の動画編集アプリ・ソフトとの比較は以下のとおりです。
| 比較項目 | Edits(Meta) | CapCut(ByteDance/TikTok) | Premiere Pro(Adobe) |
| 得意とする領域 | InstagramやFacebook向け動画の効率的な制作 | TikTokトレンドに特化した動画の制作 | プロフェッショナルな長尺・複雑な動画制作 |
| 利用料金 | 完全無料 | 基本無料、一部有料機能あり | 有料(サブスクリプション) |
| 商用利用 | 可 | 不可 | 可 |
| 編集難易度 | 低(直感的、エフェクト豊富) | 低〜中(機能豊富) | 高(多機能、専門的) |
| AI機能 | 自動キャプション、自動背景切り抜き、動き追従など | 自動キャプション、テキスト読み上げなど | 高度なカラーグレーディング、音声編集、連携機能 |
| 企業アカウントの使い分け | 日常のリール投稿、トレンド動画の迅速な制作 | TikTok向けの動画制作、テンプレート活用 | ブランドムービー、YouTube長尺動画、高解像度の広告クリエイティブ |
動画のアイデアを考えやすい

Editsには「アイデア」タブと「インスピレーション」タブが用意されています。
「アイデア」タブでは、思いついた動画のネタをメモしたり、保存したリール動画・音源を整理したりできます。
メモ機能では、付箋を色分けしてアイデアを視覚的に整理できます。
「インスピレーション」タブでは、Instagramのリールタブと同じUIで、人気のトレンド動画を確認し、制作の参考にすることができます。
ここに流れてくるリールは、インサイトの一部(再生数、コメント数、保存数)を確認することが可能です。
Editsで足りない機能や課題点
Editsはリリース初期段階のため、既存の動画編集アプリ(CapCutやPremiere Proなど)に比べて足りない機能や制限も多く、企業利用ではいくつかの注意点があります。
フォントの種類が少ない

現時点で英語フォントは250種類以上用意されていますが、日本語対応フォントは用意されていません(ゴシックor明朝で表示されます)。
ブランドロゴやトンマナに合わせたフォント選択が難しく、企業ブランディングを重視する動画ではやや制約を感じるでしょう。
今後のアップデートによる実装を期待しましょう。
テンプレートが用意されていない
競合アプリのCapcutでは、魅力的な動画を簡単に作成できるテンプレートが何千種類も用意されていますが、Editsにはありません。
Instagramの最高責任者であるアダム・モッセーリ氏は、創造性のないよく似た動画が量産されることを懸念しているようです。
テンプレートがない、つまり動画構成を毎回ゼロから作成する必要があるため、スピード重視の運用ではやや不便です。
ただし、一度Editsで作成したプロジェクト(動画)を複製して自社オリジナルの“半テンプレート”を作っておくと、作業を効率化できます。
キーフレーム機能がない
動画内の要素(文字・スタンプ・画像など)を自由に動かすキーフレーム機能は現時点で搭載されていません。
そのため、複雑なモーショングラフィックやアニメーション演出を加えたい場合は、After EffectsやCapCutなど外部ツールを併用する必要があります。
AIボイス(ナレーション機能)がない
AI音声による自動ナレーションや読み上げ機能は現時点で非対応です。
そのため、商品紹介やチュートリアルなど音声説明を加えたい動画では、音声収録または他ツールでの音声合成が必要です。
PC版・チーム管理機能が未対応
Editsはスマホアプリ専用であり、PCからのログインや共同編集はできません。
チーム全体で大規模な制作を行う場合は、素材管理・権限共有を外部ストレージ(Google Driveなど)で補う運用が現実的です。
Editsの基本的な使い方
Editsは専用アプリをダウンロードすればすぐに利用開始できます。
ここでは、Editsの使用手順を解説します。
ステップ1. アプリをダウンロード・ログイン

App Store/Google Playから「Edits」をインストール後、Instagramアカウントでログインします。
過去にInstagramアプリから投稿したリールのインサイトも確認できるようになります。
ステップ2. 撮影or素材をインポートして編集開始

画面下部中央プロジェクト画面で「+」をタップし、「カメラ」から新規素材を撮影するか、「ギャラリー」からスマホ内の写真・動画を直接読み込みます。
編集画面では、
・素材の分割、カット
・音量の調整
・速度の調整
・明るさ、コントラスト、彩度、色相などの調整
・エフェクトの追加
・音源やBGMの追加
・テキストの追加
・音声の追加
・キャプションの作成
・他素材の切り抜き・追加
・ステッカーの追加
などの操作を行うことができます。
ステップ3. エクスポート

完成した動画を再生し、問題なければ、右上の「エクスポート」をタップします。
スマホ内に保存される他、
・Instagramへのシェア(リール)
・Facebookへのシェア
・InstagramのDMで送信
なども選択できます。
まとめ
Meta社公式動画編集アプリ「Edits」は無料で高性能、そしてMetaプラットフォームとの親和性も高いです。
リリースされてから間もないため、ユーザー目線ではまだまだ課題もありますが、今後のInstagram運用において必須のツールとなるでしょう。
「動画をもっと発信したいけど、時間も人も足りない」
「リールの質を上げたいが、どうすればいいか分からない」
そんな企業担当者様は、ぜひ一度BEASTARへご相談ください。
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