2025.12.31
TikTokはこれまで「認知を広げるSNS」「バズを生むプラットフォーム」という印象が強い存在でした。
しかし近年、その役割は大きく変わりつつあります。
単なるショート動画プラットフォームから、「コンテンツとコマースが融合した新しい購買体験」を提供するECプラットフォームへと進化を遂げていることをご存じでしょうか?
その中心にあるのが、「TikTok Shop」の日本正式ローンチです。
TikTok Shopは、商品の発見から購入までの一連の購買体験をアプリ内で完結できます。
企業にとって「乗り遅れてはいけない」新たな販売チャネルとして注目を集めています。
本記事では、TikTok Shopの仕組みや機能、企業が導入すべき理由などを公式情報をもとに整理します。
TikTok Shopとは
TikTok Shopとは、TikTokアプリ内で商品の発見・比較・購入・決済までを完結できるEC機能です。
ユーザーは外部サイトへ遷移することなく、動画やライブを視聴しながら商品を購入できます。
日本では2025年6月30日から本格的な提供がスタートしました。
ショート動画やライブ配信をきっかけにお気に入りのアイテムに出会い、その場で購入できる購買体験は「ディスカバリーEコマース」と呼ばれています。
これまでのECでは、
- SNSで商品を知る
- 検索やリンクからECサイトへ移動
- 商品を探し、購入
という複数ステップが必要でした。
TikTok Shopではこの導線が大幅に短縮されており、「見て、欲しくなって、そのまま買う」 という体験が自然に生まれます。
TikTok Shopの利用料金・手数料

TikTok Shopを導入すること自体に、初期費用や月額固定費はかかりません。
企業やブランドは、商品を登録し、販売が成立した際に手数料(販売手数料+決済手数料)を支払う仕組みです。
手数料率は国・カテゴリ・キャンペーン等によって異なりますが、日本では基本的に7%です。
例えば1,000円の商品が売れた場合は、1,000円 × 7% = 70円が手数料となります。
条件(45日以内に3つの商品を出品)をクリアした新規セラーは、90日間3%の割引手数料が適用されます。
従来の「TikTok売れ」との違い
これまでの「TikTok売れ」は、
- 動画がバズる
- ECサイトへのアクセスが増える
- 在庫切れが起こる
といった、間接的な売上増加が中心でした。
TikTok Shopでは、バズった動画やライブ配信がそのまま購入に直結します。
「話題になる」と「売れる」が、より近い距離で結びつく点が大きな違いです。
一般的なECサイトとの違い

一般的なECサイト(自社EC・モール型EC)は、「検索」を起点とした購買行動が中心です。
一方、TikTok Shopはレコメンド(おすすめ)起点で商品が発見されます。
ユーザーが商品を探していなくても、
「動画を視聴している中で興味関心に合った商品が表示され、感情が動いた瞬間に購入する」
という、発見型・衝動型の購買が生まれやすい構造です。
Instagramのショッピング機能との違い
Instagramのショッピング機能は、世界観やブランドストーリーを重視した設計です。
一方、TikTok Shopは拡散力と購買スピードに強みがあります。
- Instagram:ブランド理解 → 比較検討 → 購入
- TikTok:おすすめ → 興味喚起 → 即購入
短期間で売上を作りたい商材や、認知がまだ低い商品ほど、TikTok Shopとの相性が高い傾向にあります。
また、Instagramの場合はアプリ内で決済を完結できず、Instagram内のショップページ→商品ページから外部のECサイトへ遷移する必要があります。
TikTok Shopの機能
TikTok Shopには、企業が商品を販売するための複数の機能が用意されています。
- 動画上へのカート設置
- ライブショッピング
- ショップページ作成
- ショップタブ
【以下、画像引用】TikTok Shop
動画上へのカート設置

通常のTikTok動画に、商品リンク(カート)を直接設置できます。
視聴者は動画を見ながら商品をタップし、詳細確認から購入まで進めることが可能です。
広告感が少なく、UGCに近い自然な訴求が可能です。
ライブショッピング

ライブ配信中に商品を紹介し、リアルタイムで購入を促進する機能。
質問への即時回答や限定価格・数量の訴求により、高い購買率を生みやすいのが特徴です。
海外では、TikTok Shop売上の大きな割合を「ライブコマース」が占めています。
ショップページ作成

企業・ブランドは、TikTok上に専用のショップページを作成できます。
商品一覧、価格、在庫状況などをまとめて表示し、ECストアのように活用できます。
こちらはInstagramのショップ機能と似たイメージですね。
ショップタブ

TikTokアプリ内の「ショップタブ」では、ユーザーの興味関心に合わせて商品がレコメンド表示されます。
TikTokでは動画だけでなく、商品そのものが発見される導線が用意されている点も特徴です。
※2025年12月末現在、日本版のアプリではショップタブが実装されていません。
企業がTikTok Shopを導入すべき理由
TikTok Shopは、コンテンツとコマースをシームレスに連携させるための多様な機能を搭載しており、企業アカウントの販売機会を最大化します。
以下の理由により、単なる新しい販売チャネルではなく、企業がデジタルマーケティング戦略を再構築するための鍵となるでしょう。
アフィリエイトプログラムがある
TikTok Shopには、クリエイター向けのアフィリエイトプログラムが用意されています。
※一部のセラーのみに提供されている機能です。
企業は自社商品を登録し、クリエイターが紹介・販売することで成果報酬を支払います。
広告費を抑えながら、多数のクリエイターに商品を広めてもらえる仕組みです。
手数料率は、1〜80%の間で商品ごとに設定できます。
広告出稿できる
TikTok Shopは、TikTok広告と連動できます。
3種類の広告があり、商品ページへ直接誘導することが可能です。
- Video Shopping広告:フィードに動画を流して商品を宣伝
- LIVE Shopping広告:フィードや検索ページにライブ配信や動画を流してライブ配信を宣伝
- Product Shopping広告:商品詳細ページの画像と情報を使用して、商品の広告を作成
オーガニック投稿だけでなく、広告と組み合わせることで、売上を安定させやすくなります。
発見から決済までアプリ内で完結

TikTok Shop最大の強みは、アプリ内完結型の購買体験です。
外部ECへの遷移がないため、離脱率が低く、衝動買いが起こりやすくなります。
TikTokきっかけの購買が多い
TikTok公式の調査によると、TikTok経由での推定消費額は2023年で1,772億円、2024年で2,375億円にのぼります。
2025年11月には、日本におけるTikTokの月間アクティブユーザー数(MAU)が4,200万を突破しており、今後ますます「TikTokで商品を知り、購入した経験がある」ユーザーは増えていくでしょう。
【出典】TikTok
TikTok Shopで売れやすい商品

TikTokで売れている商品の傾向は、「TikTok クリエイティブセンター」で確認できます。
TikTok Shopでは、動画で魅力が伝わりやすい次のような商品が特に売れやすい傾向があるようです。
- 美容・日用品(スキンケア、ヘアケア、メイク用品など)
- アパレル(Tシャツ、パンツ、コートなど)
- 食品・飲料(スナック、お菓子、インスタント麺など)
- ガジェット・電化製品(ヘッドホン、扇風機、スマホケースなど)
使用シーンや変化を見せられる商材は高い成果が期待できます。
TikTok Shopが向いていない企業・商材は?
TikTok Shopは万能ではありません。商材や企業フェーズによって、向き・不向きがはっきり分かれます。
TikTok Shopが向いているのは、先述のとおり動画で価値が伝わりやすい商材を扱っている企業です。
美容・コスメ・健康食品・アパレル・雑貨・ガジェットなどは特に相性が良く、実演やビフォーアフターを通じて購買意欲を高めやすい傾向があります。
また、認知拡大と売上創出を同時に狙いたい企業にも適しています。
一方で、TikTok Shopとの相性が比較的悪いのは、検討期間が長い高額BtoB商材や、動画での差別化が難しいサービスです。
また、社内に動画制作や運用のリソースがまったくない場合、立ち上がりまでに時間がかかることもあります。
「TikTok Shopをやるべきか」ではなく、「今の自社に合った売り方か」を見極めるましょう。
企業がTikTok Shopを始める手順
TikTok Shopの開設は、以下のステップで進めます。
STEP1.セラーセンターにログイン
STEP2.ビジネス情報を登録する
STEP3.ショップを開設する
STEP4.配送設定や銀行情報の登録を行う
STEP5.商品を登録する
STEP6.TikTokアカウントと連携する
【出典・画像引用】TikTok Shop Academy
STEP1.セラーセンターにログイン



アカウントがない場合は、TikTokアカウントを新規作成します。
その後、TikTok Shop セラーセンター( http://seller-jp.tiktok.com/ )にアクセスし、
- 電話番号またはメールアドレスを入力
- 認証コードを入力
- パスワードを入力
の順でログインを行います。
STEP2.ビジネス情報を登録する

まず、個人または法人からビジネスタイプを選択します。
個人の場合は1店舗のみ、法人は最大5店舗まで開設できます。


次に、本人確認のために提出する書類を選択・アップロードし、一致する情報を入力します。
個人の場合は下記から選べます。
- パスポート
- 運転免許証
- 在留カード(就労制限なし)
法人の場合、代表者の本人確認書類(上記)に加え、登記事項証明書または印鑑証明書が必要です。

STEP3.ショップを開設する

TikTok Shop用の
- ショップ名(後ほど変更できます)
- ショップ運営責任者の氏名
- お問い合わせ電話番号
- 連絡先メールアドレス
- 会社の主要連絡先の携帯電話番号
を入力します。
情報を確認し、開設申請が完了すると、1~5日ほどで内容が審査されます。
審査結果はメールまたはTikTok Shopセラーセンターから確認できます。
STEP4.配送設定や銀行情報の登録を行う

審査に通ったら、商品登録を行いTikTokでの販売を開始できます。
TikTok Shopを導入する際、最初に必ず行うべきなのが「出荷・配送設定」です。
- 出荷拠点の登録(倉庫・オフィス・委託先など)
TikTok Shopでは、この住所をもとに配送業者の集荷手配を行います。
集荷住所・返品住所ともに複数拠点(最大50拠点)の登録が可能です。 - 出荷時に使う帳票の形式設定(納品書・配送ラベルなど)
サイズやレイアウトを自社の業務フローに合わせて設定できます。 - 配送方法の設定
初期設定では「Seller Shipping(自社発送)」が選択されています。 - これは自社または委託先で商品を梱包・発送して、TikTokが連携している配送会社を利用し、追跡番号付きで配送状況を管理する一般的なECと同じ発送モデルです。
- 送料ルールの設定
発送元(どの倉庫から出すか)、配送先エリア(全国/一部地域など)、地域別送料、送料計算方法(重量別、時期別、一律料金)などを設定できます。

配送設定に加え、銀行口座の登録も行います。
TikTok Shopでは「商品が届いたあと、一定期間を経て売上が確定し、定期的に入金される」という仕組みが採用されています。
売上確定のタイミングは、
- Standard Settlement:配送完了から30日後
- Express Settlement:配送完了から3日後
- Extended Settlement:配送完了から31日後
の3種類に分かれており、セラーの実績や審査状況などによって異なります。
売上が確定した後、1円以上であれば、毎月1日と14日に自動的に入金処理が行われます。
新規出店時の初回入金は、売上が確定して1円以上になった時点で即時実行されます。
STEP5.商品を登録する


TikTok Shopでは、1商品ずつの登録と一括登録(複数商品)の両方に対応しており、最大1,000商品まで同時に出品可能です。
セラーセンターで「商品管理(Manage Products)」に進み、「新しい商品を追加(Add new product)」 をクリックして以下の情報を入力します。
- 基本情報(商品名、ブランドなど)
- 画像・動画(商品ビジュアル)
- 商品詳細(説明文、仕様)
- 販売情報(価格、在庫)
- 配送情報
- 一部カテゴリーでは認証書類(ブランド証明など)
商品名や説明文には、TikTok内での検索を意識したキーワードを含めましょう。
STEP6.TikTokアカウントと連携する
1つのTikTok Shopにつき、公式アカウントは1つのみ紐付けられます。
最大3回まで変更可能です。
連携が完了すると、アップロードした商品が自動でアカウントに表示され、動画へのカート設置やライブコマースの権限が付与されます。
企業がTikTok Shopをするうえでの注意点

TikTok Shopは非常に強力な販売チャネルですが、従来のECと同じ感覚で運用すると成果が出にくい点には注意が必要です。
広告感を出さないようにする
まず重要なのは、「売り込み感の強い動画は伸びにくい」という点です。
TikTokでは、広告然とした動画よりも、UGCに近い自然な表現のほうが視聴・拡散されやすい傾向があります。
従来の広告動画とは異なり、「TikTokらしい」エンターテイメント性の高い動画制作ノウハウが必要です。
商品の機能説明よりも、「使ってみた感想」「悩みがどう変わったか」といった文脈設計が欠かせません。
運用体制を整える
TikTok Shopは、衝動的な購買によって短期間で大量の注文が入る可能性があります。
予想外の「バズ」によって在庫切れになり、販売機会の損失や顧客満足度の低下を招く可能性があります。
また、ユーザーはECサイトよりも迅速な配送を期待する傾向があるため、注文処理から発送までのリードタイムを短縮する体制が必要です。
発送遅延や対応ミスは、レビューや評価に直結します。
カスタマー対応の体制を整えておきましょう。
最新情報をチェックする
TikTok Shopは、日本市場ではまだ新しい機能であるため、仕様やルールのアップデートが頻繁に行われます。
最新情報をキャッチアップし続ける体制がないと、知らないうちに機会損失が生じる可能性があります。
規約・ポリシーを守る
TikTok Shopは、商品やコンテンツに関する規約・ポリシーが非常に厳格です。
特に、景品表示法や薬機法といった日本の法律に加え、TikTok独自のコミュニティガイドラインや販売ポリシーを遵守する必要があります。
例えば、効果や効能を過度に強調する表現(誇大広告)は厳禁です。
知的財産権(著作権や商標権)を侵害するコンテンツも即座に削除されます。
規約違反を繰り返すと、商品の削除だけでなくアカウントの永久停止に繋がる可能性があるため、チェック体制の構築が不可欠です。
TikTok Shopに関するよくある質問Q&A

Q1. フォロワーが少なくても売れますか?
A. TikTokはフォロワー数よりも、レコメンド機能により動画単体の評価が重視されるため、アカウント初期でもヒット商品が生まれる可能性があります。
Q2. 広告は必須ですか?
A. 必須ではありませんが、広告と組み合わせることで売上の再現性は高まります。
オーガニック×広告×アフィリエイトの組み合わせが理想的です。
Q3. TikTok Shopは日本のユーザーにしか販売できませんか?
A. 基本的に、日本のセラーセンターで出店した場合、日本のユーザーを主なターゲットとして販売します。
ただし、TikTokは国境を越えた販売(クロスボーダーEC)にも注力しており、将来的には越境ECの機能が強化される可能性があります。
Q4. ライブショッピングは必ず実施しなければなりませんか?
A. 必須ではありませんが、ライブショッピングはTikTok Shopの売上を伸ばす最も強力な機能のひとつです。
特に、高単価な商品や詳細な説明が必要な商品の販売には、ライブショッピングの導入を強く推奨します。
Q5. TikTok Shopの売上はどのように入金されますか?
A. 売上は、TikTok Shopの決済システムを通じて処理され、一定期間(通常は数週間)の後に、登録した銀行口座に振り込まれます。
入金サイクルは、セラーの評価や取引実績によって変動する場合があります。
Q6. 自社で運用するのは難しいですか?
A. 不可能ではありませんが、動画企画・撮影・分析・改善を継続する体制が必要です。
内製が難しい場合は、専門会社との併走をおすすめします。
まとめ
TikTok Shopは、単なる新機能ではなく、SNSとECの関係性そのものを変える仕組みです。
これまで分断されていた「認知」と「購入」を、動画とアルゴリズムによって一気につなげることで、従来のECでは生まれにくかった購買体験を実現しています。
一方で、成果を出すには動画設計やクリエイター活用、広告との連携、運用体制の構築といった複数の要素を戦略的に組み合わせる必要があります。
単にShopを開設するだけでは、思うような結果にはつながりにくいです。
BEASTARでは、TikTok Shopの導入支援を含むSNS全体の設計までを一気通貫でサポートしています。
「TikTokをバズで終わらせず、売上につなげたい」「TikTok Shopが自社に合うか判断したい」という企業さまは、ぜひ一度ご相談ください。