2025.10.01

「毎日投稿しているのに、なかなかフォロワーが増えない」
「リールの再生数は伸びたけど、結局そこから集客につながっていない」
「インサイトを開いてはみるけど、数字をどう活用すればいいか分からない」
SNS担当者や企業の広報ご担当者から、こうしたお悩みの声をよく耳にします。
Instagram運用で成果を出すには、インサイトを正しく理解し、PDCAサイクルに落とし込む工程が欠かせません。
本記事では、Instagramインサイトの基本から具体的な見方、活用方法、改善のポイントまでを、SNS運用代行を手がけるBEASTAR株式会社が徹底解説します。
Instagramの「インサイト」とは?
Instagramのインサイトとは、アカウントや投稿のパフォーマンスを可視化できる公式の分析機能です。
プロアカウント(主に個人向けの「クリエイターアカウント」または店舗や企業向けの「ビジネスアカウント」)であれば、誰でも利用できます。
フィード・リール・ストーリーズ・ライブ配信などの成果を数値で把握でき、アカウントの成長戦略を考えるうえで役立ちます。
インサイトで分かること
Instagramのインサイトでは、
- 投稿がどのくらい見られたか?(リーチ数、インプレッション数)
- どんな属性のユーザーに届いたか?(フォロワーの性別・年齢・地域、フォロワー/非フォロワー)
- どのような行動が起きたか?(保存、シェア、プロフィールアクセス、サイトクリック)
など、アカウント全体やひとつひとつの投稿に関するデータを確認できます。
成果につながる投稿や施策を特定するためのデータです。
インサイトを活用するメリット
インサイトによって、「投稿がどのくらい見られたか」「保存されたか」といった成果を可視化でき、勘ではなくデータドブリンの運用改善が可能になります。
インサイトを確認する→数値を元に仮説を立てる→次の投稿やアカウントを改善する→インサイトの確認する・・・
このようなPDCAサイクルを回せるので、短期的なリーチ増加はもちろん、中長期的なブランド力アップも目指せるでしょう。
また、ターゲットへの理解を深められる点もメリット。
性別・年齢・地域・利用時間帯などを確認できるため、「誰に刺さっているか」「どの時間帯に投稿すべきか」が明確になります。
なお、インサイトで効果が高かった投稿は、広告配信に活用すると成果が出やすい傾向があります。
【関連記事】Instagram広告とは?掲載フォーマットや課金方式について解説します
【関連記事】SNS広告とは?仕組み・種類・メリット・活用方法をプロが徹底解説
インサイトの利用条件

インサイトはスマホアプリから閲覧でき、PCでも「Meta Business Suite」で確認可能です。
無料で利用でき、課金や広告出稿の必要はありません。
ただし、プロアカウントへの切り替えが必須です。
【切り替え手順】
1.右下のアイコンをタップして、プロフィール画面を開く
2.「プロフィールを編集」をタップ
3.「プロアカウントに切り替える」をタップ
4.「次へ」をタップ
5.当てはまるカテゴリを選択し、「次へ」をタップ
6.クリエイターorビジネスタイプを選び、「次へ」をタップ
Instagramインサイトの基本項目
インサイトで確認できる指標は数多くありますが、特に重要なものを整理します。
アカウント全体のインサイト
【プロフェッショナルダッシュボード>「閲覧数」タブ】

- 閲覧数
投稿したコンテンツがユーザーの画面に表示された回数(インプレッション数)を指します。
同じユーザーが複数回見てもカウントされます。 - リーチしたアカウント
投稿やストーリーズなどのコンテンツを閲覧したユニークユーザーの数を指します。
認知拡大を測る指標になります。 - 閲覧数のユーザー属性の割合(フォロワー/フォロワー以外)
- 閲覧数のコンテンツの割合(投稿/ストーリーズ/ライブ動画/リール動画)
- トップコンテンツ
閲覧数、リーチしたアカウント数、フォロー数の高い順または低い順に並び替えて確認できます。 - オーディエンス情報
上位の国、上位の都市、性別、上位の年齢層が表示されます。 - プロフィールのアクティビティ
プロフィールへのアクセス数、外部リンクのタップ数を確認できます。
上位のうち、「トップコンテンツ」の期間は過去7日間、過去30日間、過去3ヶ月間、過去6ヶ月間、昨年、過去2年間から選択できます。
それ以外の数値は過去7日間、過去14日間、過去30日間、先月、過去90日間から選択できます。
【プロフェッショナルダッシュボード>「インタラクション」タブ】

- インタラクション数
フィード・リール・ストーリーズ・ライブ配信などのコンテンツに対して、ユーザーが行った具体的な行動を指します。 - 閲覧数のユーザー属性の割合(フォロワー/フォロワー以外)
- 閲覧数のコンテンツの割合(投稿/ストーリーズ/ライブ動画)
- アクション別の数(いいね数、コメント数、保存数、再投稿数)
- トップコンテンツ
閲覧数、住所のタップ数、コメント数、外部リンクのタップ数、フォロー数、インプレッション数、いいね数、プロフィールへのアクセス数、リーチ数、保存数、動画再生数の高い順または低い順に並び替えて確認できます。
【プロフェッショナルダッシュボード>「新規フォロワー」タブ】

- フォロワー数
- フォロワー数の推移(全体の増減数、新規フォロー数、フォローをやめた数)
- フォロワーの地域別の割合(市区町村、国)
- フォロワーの年齢層別の割合
- フォロワーの性別の割合
- フォロワーの最もアクティブな時間帯(曜日別)
期間は過去7日間、過去14日間、過去30日間、先月、過去90日間から選択できます。
フィードのインサイト

アカウント全体のインサイトだけでなく、1投稿ごとの数値も確認できます。
まず、フィード(画像や動画をスクロールして閲覧する形式の投稿)のインサイトでは、下記の項目が表示されます。
<概要>
- 閲覧数
- インタラクション数
- プロフィールのアクティビティ
<閲覧数>
- 閲覧数の合計
- 閲覧数のユーザー属性の割合(フォロワー/フォロワー以外)
- どこから閲覧されたかの割合(プロフィール/フィード/検索/ストーリーズ/発見タブ)
- リーチしたアカウント数
<インタラクション数>
- タイミング別のいいね数(カルーセルの何枚目でいいねされたか)
- いいね数
- コメント数
- 保存数
- 再投稿数
<プロフィールのアクティビティ>
- プロフィールへのアクセス数
- 外部リンクのタップ数
- フォロー数
<オーディエンス>
- 閲覧したユーザーの性別の割合
- 閲覧したユーザーの年齢層別の割合
- 閲覧したユーザーの国別の割合(市区町村、国)
リールのインサイト

<概要>
- 閲覧数
- 総再生時間
- インタラクション数
- プロフィールのアクティビティ
<閲覧数>
- 閲覧数の合計
- 閲覧数のユーザー属性の割合(フォロワー/フォロワー以外)
- 閲覧数の推移(このリール動画と通常のリール動画表示数の比較)
- どこから閲覧されたかの割合(プロフィール/フィード/検索/ストーリーズ/発見タブ、リールタブ)
- リーチしたアカウント数
<リテンション>
- リテンション率(スワイプせずに視聴を続けた人の再生数の割合)の推移
- このリール動画のスキップ率(最初の3秒間でスキップした人の再生数の割合)
- 通常のリール動画のスキップ率
- リール動画が再生された合計時間(リプレイも含む)
- 平均再生時間
<インタラクション数>
- タイミング別のいいね数の割合(動画の何秒目でいいねされたかの推移)
- いいね数
- コメント数
- 保存数
- シェア数
- アクションを実行したアカウント数
<プロフィールのアクティビティ>
- プロフィールへのアクセス数
- フォロー数
<オーディエンス>
- 閲覧したユーザーの性別の割合
- 閲覧したユーザーの年齢層別の割合
- 閲覧したユーザーの国別の割合(市区町村、国)
ストーリーズのインサイト

<概要>
- 閲覧数
- インタラクション数
- プロフィールのアクティビティ
<閲覧数>
- 閲覧数の合計
- 閲覧数のユーザー属性の割合(フォロワー/フォロワー以外)
- リーチしたアカウント数
<インタラクション数>
- いいね数
- 返信数
- シェア数
- アクションを実行したアカウント数
- リンクのクリック数
- スタンプのタップ数
- 次の写真や動画を見るためにタップされた回数
- 前の写真や動画を見るためにタップされた回数
- ストーリーズからの移動数
- 次のストーリーズへ移動した数
<プロフィールのアクティビティ>
- プロフィールへのアクセス数
- フォロー数
<オーディエンス>
- 閲覧したユーザーの性別の割合
- 閲覧したユーザーの年齢層別の割合
- 閲覧したユーザーの国別の割合(市区町村、国)
インサイト活用の具体的なステップ

インサイトの数値は「見ただけ」で終わらせてしまうと意味がありません。
大切なのは、数値から何を読み取り、どのように改善に活かすかです。
投稿を振り返る際に、以下でご紹介するインサイト活用の流れをチェックリストのように活用すれば、次回の投稿改善や長期的な成果につながる運用設計ができるようになります。
STEP1. 目標設定
Instagram運用を成功させるためには、KPI(重要業績指標)とKGI(最終目標指標)を設定することが重要です。
KGIとは最終的なゴールを測る指標で、Instagram運用を通じて達成したい成果(売上、お問い合わせ、ブランド認知度の向上など)を指します。
経営目標やマーケティング戦略と密接に関わっているため、長期的な視点で設定されるケースが多いです。
一方のKPIとは、KGIを達成するために設定する中間指標で、運用の成果を具体的に測定するために活用されます。
Instagramにおいては、フォロワー数や投稿のリーチ数、エンゲージメント率などの指標が設定されるケースが多いです。
例)
- KGI:EC売上を月50万円増加させる
- KPI:ストーリーズからのリンククリック数を月500回にする
【関連記事】Instagram運用で成果を出す!目的に合わせたKPI・KGIの設定方法とポイントを徹底解説
STEP2. データ収集
目標を設定したら、その達成度を測るためにインサイトデータを定期的に記録します。
アプリ上で確認するだけでなく、GoogleスプレッドシートやExcelなどを活用し、リーチ数、保存数、プロフィールアクセス、リンククリック数といった主要指標を記録していきましょう。
数値を一目で比較できる形に整理しておくことで、「どの投稿が成果に貢献しているか」を冷静に判断できるようになります。
STEP3. 仮説立案
数値を収集したら、それを「なぜこの結果になったのか?」という仮説に落とし込みます。
例えば、保存数が多ければ「後から見返したい有益情報だったのでは?」、シェア数が多ければ「共感や話題性が高かったのかも?」と考えられます。
逆にリーチ数は多いのに保存が少ない場合は、「多くの人に届いたが、内容の価値が十分に伝わっていない」と推測できます。
下記の流れで仮説化を行いましょう。
1.他投稿よりも高い数値に着目する
「保存率が他投稿の平均の1.6倍だ!」
2.理由を考察する
「チェックリストを入れたから」「タイトルに“保存推奨”と入れたから」など
3.同様に低い数値verでも行う
このように、数値の背景を考え、さらにその先の「理由の考察」まで深掘りすることで次の改善施策の方向性が明確になります。
仮説は必ずしも正解でなくても構いません。
重要なのは、「数値 → 仮説 → 検証」のサイクルを習慣化することです。
STEP4. 改善実行
仮説を立てたら、必ず次の投稿で検証を兼ねた改善を実行しましょう。
例えば、
- 保存を増やしたい → 過去に保存数が伸びていた投稿の共通点を取り入れる(まとめ投稿にする、チェックリスト形式にするなど)。
- リールで離脱が多い → 冒頭にキャッチーなコピーや驚きのある素材を追加する。
- エンゲージメントを高めたい → ストーリーズに質問スタンプを設置する。
このように、具体的なアクションに落とし込みます。
その後は改善策を試した結果を再びインサイトで確認し、効果があれば継続、効果が薄ければ別の方法を検討します。
この繰り返しが、Instagram運用を中長期的に成長させるカギです。
Instagramインサイト活用の失敗例

インサイトは便利なツールですが、使い方を誤ると逆効果になることもあります。
よくある失敗例を整理します。
1つの指標だけに注目する
「いいね数が多い=成功」「リール再生数が伸びた=成功」と短絡的に判断してしまうケースです。
Instagram運用の目的が売上・来店・問い合わせである以上、「上流(認知)→中流(興味・検討)→下流(行動)」の指標を縦串で見る必要があります。
- 例1:いいね数は多いが、プロフィールアクセスやリンククリックが少ない → 共感は得たが、行動導線が弱い
- 例2:リール再生は伸びたが、保存・シェアが伸びない → 一過性の視聴で、回遊・深掘りが生まれていない
- 例3:リーチは多いが、フォロー増加や問い合わせに結びつかない → ターゲティング/訴求がズレている可能性
データを眺めるだけで活かせない
数字を見て終わり、仮説に落とせていないため、次の施策に繋がらない状態です。
- 「保存が多い」「離脱が多い」など事実の列挙のみで会議が終わる
- 投稿の狙いや前提がなく、なぜ当たった/外れたかが翌月に活かせない
- 担当者の感覚に依存し、再現性のある型が蓄積しない
短期間で成果を判断する
Instagramのアルゴリズムは、投稿が数週間〜数ヶ月かけて徐々に伸びることも珍しくありません。
投稿後すぐのデータだけで判断せず、最低1ヶ月単位で傾向を確認しましょう。
また、イベントや季節の要因(繁忙期/閑散期)や曜日・時間帯のバイアスを考慮していないケースも要注意です。
対策としては、次のような方法が考えられます。
- インサイトを記録するタイミングを複数回に分ける(24時間後、1ヶ月後、3ヶ月後など)
- 同条件で比較する(テーマ、投稿月、曜日、時間帯など)
- 外乱要因も考慮する(広告の併用、コラボ、キャンペーン、メディア露出など)
広告や他施策と切り離して考える
インサイトはオーガニック投稿だけでなく、広告やキャンペーン施策の効果検証にも活用できます。
投稿と広告のデータを統合し、CPC/CTR/CVRなどの広告指標やLP側の離脱率と“ひとつながり”で判断しましょう。
- オーガニックで反応の良い投稿 → 広告配信で拡散強化
- 広告でCVに寄与した訴求 → オーガニックへ横展開して再現性を検証 など
まとめ|インサイトを活用し“数字”を成果に変える

Instagramインサイトは、ただの数字の集まりではなく、ユーザー行動を可視化するマーケティングの羅針盤です。
- どんな投稿が刺さっているのか?
- どの導線が成果につながっているのか?
- どの層にリーチできているのか?
これらをデータから読み解き、次の施策に反映することで、フォロワー数の増加だけでなく、売上・来店・問い合わせといった本質的な成果を得られるでしょう。
「インサイトをもっと活かしたい」
「数字は出ているけど、改善方法が分からない」
「運用に時間が取れず成果につながらない」
「広告も含めてトータルで設計してほしい」
そんな課題を抱えている企業さまは、ぜひ一度BEASTARへご相談ください。
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