10年ほど前から耳にするようになった『ソーシャルリクルーティング』という言葉。FacebookやTwitterなどのSNSを活用して行う採用活動を指します。なかでも、新卒での就職活動をしている10代後半〜20代前半の働き盛り世代へ情報を届けられるSNSがTikTokです。

本記事ではTikTokを採用活動に活用すべきワケや活用のメリット・デメリット、運用のポイントや他企業の事例を紹介します。

「人材を募集しているけれどなかなか応募が来ない」
「予算がなくて求人広告や採用広報活動ができない」

とお悩みの人事担当者さんはぜひ参考にしてみてください。

目次
  1. TikTokが採用活動に適している理由
  2. TikTokを採用活動に活用するメリット・デメリット
  3. TikTokを人材採用につなげるためのポイント
  4. TikTok運用で採用活動が成功した企業5選
  5. まとめ

TikTokが採用活動に適している理由

23卒の学生100名を対象に実施された調査では、81%の学生がTikTokで企業の動画を見た経験があることが分かりました。また、そのうちの80.2%が「TikTokの動画をきっかけに企業に興味を持ったことがある」と回答しています。

企業のイメージや世界観が分かりやすく、短い動画で簡潔に働いている様子や魅力を感じ取れたため興味につながったようです。さらに、企業に興味を持ったあと実際にエントリーした学生は66.2%にのぼりました。

若い世代にとって身近なSNSであるTikTokは、就職活動にも大きな影響を与えていることが分かりますね。各企業は優秀な人材を確保するために積極的に活用すべきだと言えるでしょう。

参考:「Z世代の就活生のTikTok活用実態」に関する調査

TikTokを採用活動に活用するメリット・デメリット

TikTokが採用活動に有効であることが判明したものの、メリットだけでなくデメリットも気になりますよね。
双方を知ったうえで、会社の方針とTikTokの属性がマッチするのか検討してみましょう。

関連記事:【企業向け】TikTokを活用するメリット・デメリットを分かりやすく解説

メリット1.会社の雰囲気が伝わりやすい

コーポレートサイト・採用サイトは事業内容や企業理念といった企業の大枠部分を伝える役割を果たします。一方で、実際の会社の雰囲気や親しみやすさを伝えるツールとしてはやや適していません。

TikTokでは社内の雰囲気や社員の人柄、仕事中の様子などを動画で伝えることができます。実際、アメリカの調査会社の研究結果※によると、1分間の動画で文字180万語・Webページ約3,600ページ分の情報量を伝えられるというデータも。
※Forrester Research/James L. McQuivey博士/2014年4月

また、ライトなSNSなので視聴ハードルが低く、テンポの良い動画を作成することで視聴者の印象に残りやすくなるでしょう。TikTokを通じて企業のリアルな姿を発信することで、現場理解が深まり入社後のミスマッチを減らせる点がメリット。

また、TikTokに真剣に取り組んでいる企業の姿を見て、求職者に「時代の流れに対応できる企業」だと印象付けることもできます。

メリット2.コストがかからない

採用活動には通常、求人広告費やセミナー会場費、人材紹介会社の手数料やサービスの利用料などのコストがかかります。2020年に株式会社リクルートが行った調査によると、新卒採用1名あたりの平均コストは93.6万円、中途採用で103.3万円でした。

参考:就職みらい研究所 就職白書2020

採用力の強い大手企業に比べて、中小企業は採用コストが高くなる傾向に。また、コロナウイルス流行による社会の変化や少子高齢化によって、今後ますます採用コストが高まっていくと予想されます。

TikTokなら無料で動画の撮影・編集や投稿が可能です。また、時間をかけずに誰でも簡単に利用できるため、人的リソースや時間的なコストも削減できます。

メリット3.知名度や興味が無くても見てもらえる

通常の求人媒体だと求職者が社名で検索したり、業界や職種で絞ったりして求人情報を検索します。一方、TikTokでは本来はその企業を知らなかった・興味がなかったユーザーにも幅広くアプローチして露出を広げることが可能です。

TikTokは他SNSと違い、フォロワーでないユーザーにもアルゴリズムに基づいて動画が自動でおすすめ表示される仕組み。そのため、アカウントを開設したての企業アカウントでも、いいねやコメントなどが多く「ユーザーの反応が良い動画だ」と判断されれば拡散されます。

なかには初投稿で100万回再生を獲得する動画もあるほどです。企業の知名度が低くても、動画自体が面白く注目を浴びてバズることができれば多くのユーザーにリーチできます。

デメリット1.求職者側の情報は分からない

ユーザーネームを自由に設定できるTikTokでは、本名を使用せずに利用しているユーザーが多いです。FacebookやLinkedinなどの実名登録を求められるSNSと違い匿名性が高いので、どのようなユーザーがコンテンツを見ているか把握できません。

コメントやDMがあったとしても、求職者の個人情報を収集できる確率は低いでしょう。TikTokからエントリーにつなげるためには、プロフィールに自社のコーポレートサイトや採用サイトのURLを記載して誘導する方法が◎

また、すぐにエントリーに直結しなくても、TikTokをきっかけに認知してもらえて他媒体からの間接的な応募につながる場合もあります。

デメリット2.具体的な業務内容は伝えづらい

TikTokでの情報発信はどうしても和気あいあいとしたライトな印象になってしまいがち。それが良さでもあるのですが、仕事の具体的な業務内容ややりがい、大変さなどの泥臭い面は伝わりにくいです。

離職の原因のひとつである入社後のギャップが発生しないように、業務に関することはコーポレートサイトなど別の場所でしっかりと発信しましょう。目的によって媒体を使い分けることが大切です。

デメリット3.炎上やアンチ発生の可能性がある

TikTokは求職者だけでなくさまざまなユーザーが利用しています。拡散力の高さが仇となり、少しの失言・失態やとがった動画の内容から炎上する可能性があることには留意しておくべきでしょう。

また、批判的な内容のアンチコメントが来ることもあります。TikTok内だけでなく、Twitterなどの他SNSや掲示板に拡散されるケースも。
参考:Twitter きしょいベンチャー人事の投稿bot

動画の投稿前には複数人で内容をチェックし、また万が一に備えて炎上の対処法を事前にルール化しておくと安心です。

TikTokを人材採用につなげるためのポイント

企業のTikTokアカウントは、若い世代の求職者にとってコーポレートサイトのような役割を果たしています。SNSを企業研究や応募先選びに活かしている人もいます。

興味のある企業をリサーチした際にTikTokアカウントがないと、応募をやめてしまったり、マイナスな印象を持ってしまったりする場合もあるようです。そんなTikTokを採用手段として活用する際のポイントは、社内の協力を得ること。

他の業務と並行して動画の準備を行わなければならず、スムーズに運用を進めるには会社や他の社員からの理解が不可欠です。TikTokの運用目的や目標、必要な作業時間や業務内容、他部署への協力依頼内容などをまとめて共有しておきましょう。

社内の協力を得られたら、さまざまな年次の社員に出演をお願いすると◎若い社員ばかりを登場させるのではなく、勤続年数の長い社員や役員など上の立場のメンバーも登場させることで、職場のイメージをよりリアルに伝えられます。

上司と部下のコミュニケーションの様子を発信する手もあります。その他のポイントについては下記記事をご覧ください。

関連記事:TikTok企業アカウントの運用方法とは?アカウントの作り方や運用のポイントを解説

TikTok運用で採用活動が成功した企業5選

実際にTikTokをうまく運用して求人応募数の増加や人材採用につなげた企業も多いです。

大京警備保障株式会社(警備業)
三陽工業株式会社(製造業や派遣業)
株式会社BEEM(コンテンツマーケティング)
株式会社Suneight(動画マーケティング)
株式会社三和交通(タクシー会社)

他の企業の事例をチェックし、動画の内容や文章、プロフィール内容などを参考にして自社のTikTok運用に活かしていきましょう。

関連記事:【中小企業必見】TikTok成功事例13選!商品・サービスのジャンル別に紹介

まとめ

拡散力が高く無料で始められるTikTokは企業の採用活動に活かせる有効な手段のひとつ。なかなか踏み出せずにいる人事担当者様は、これを機に着手してみてはいかがでしょうか。

TikTokを採用につなげるなら、自社の魅力を押し出したビジネス色の強い動画よりも、TikTokのトレンドや特色と上手く組み合わせた動画を投稿することをおすすめします。企業のTikTok活用についてはBEASTARまでお気軽にご相談ください。